平成19年度「小さな親切」運動本部主催「小さな親切」作文コンクール 入選

「素直な心」

岐阜市立藍川北中学校 2年 山口摩子

お盆休暇を利用して大阪へ旅行したときのことです。

その日の大阪駅は、家族で遊びに来た人や、地方に帰る人が多く、
おみやげ売り場には、特に大勢の人が集まっていました。

「あっ。友達におみやげ買わなくちゃ。」

そう思っておみやげ売り場に入ったものの、
両手に大きな荷物を持ち、大変身動きしにくい態勢でした。

やっとの思いでおみやげを手に取り、レジに行ったところ、
会計を待つお客さんの列が二つできていました。
早くしないと電車が来てしまうと多少イライラしながらも、
私は会計を済ませている人のすぐ後ろだったので、
隣の人に対して、こう考えることで自分の気持ちを落ちつかせていました。

それは、
「あの人には悪いけど、時間がないから、あの人より先にレジの前に出て、会計を済ませよう。」
ということです。
荷物は重いし、混雑したおみやげ売り場を早く出たい一心で、このことばかり考えていました。

「次の人どうぞ。」

レジの店員さんが呼んだのは、隣の列に並んでいたおばさんでした。
「あ〜あ。先をこされてしまった。でも、まあ、いいか。次は確実に自分だから。」
そう思っていたとき、隣のおばさんがこんなことを言ってくれました。

「そちらの方、先にどうぞ。」

おばさんが手招きしていたのは私でした。
私は、えっと驚きました。
店員さんは、おばさんに向かってもう一度、

「次の人どうぞ。」

と呼びました。
けれど、おばさんは、
「いえっ。その子の方が先に並んでいましたから。」と、
あたり前のことのように私に順番をゆずってくれました。

予想外のおばさんの一言に、私はすごくびっくりしてしまい、いつもなら言葉に出して言える、
「ありがとうございます。」という一言も、
のどのあたりで止まってしまい、頭をコクンと何回も下げただけでした。

私は今、とても後悔しています。
それは、「先にどうぞ。」と言われたときに、
声に出して「ありがとう。」と言えなかったこと、
おばさんの言葉を聞くまで、「あの人より先に会計を済ませよう。」と考えていたことです。
自分のことばかり考えていた私はなんてひとりよがりな人間だったのかと思いました。

だから私は、親切にされたときは、
素直な心できちんと声に出して「ありがとう。」と言える強い人になりたいと思いました。
また、自分の都合を主張するだけでなく、相手の立場も考えられるやさしい人になりたいと思います。
今度は私が、人の心に「小さな親切」の種をまけるようになりたいです。