プロジェクト学習のよさは何か?
総合的な学習で、特に充実させたい以下の内容を強化するために有効な学習方法です。
・ 子どもたちが各教科で身に付けた知識技能等を相互に関連させて学習に生かすことができるようにすること
・ 児童生徒の学習状況に応じて、教師が適切な指導を行う必要があること
◇具体的な特徴
@ 学年・学級でテーマを一つに決め、チームで活動する。
・「ねらい」が絞り込まれるため、評価の観点や教師の支援が共通化できる。
・仲間とかかわりながら、自分を高めることができる。
A 単元構成が明確である。(基本フェーズ展開)
・各段階ごとに子どもたちにつけたい力を意図的に仕組むことができる。
・今までの学習で身に付けた知識や技能などを働かせる場を仕組むことができる。
・ゴールの姿(目的意識)が明確なので、子どもたちは活動に見通しを持って取り組むことができる。
・何をいつまでにやらなけれはならないのか、計画も見通しをもって立てられる。
B ポートフォリオを活用する。
・シートを活用することによって、共同歩調で活動を進めることができる。
・記録の蓄積により、学習の足跡が一目でわかる。
・設定したゴールに照らし合わせて、自分の学習の歩みが適切かどうか絶えず振り返ることができる。
・活動を通して、どんな力が身についたのか自己評価できる。
・活動の背景にある願いを相互交流することができる。
・教師は子どもにどんな力がついたのか学習状況を的確につかみ、適切な指導援助を行うことができる。
プロジェクト学習の用語がわかるように説明してください。
 プロジェクト学習の解説書等には、カタカナの聞き慣れない言葉が現れます。主なものをここに紹介します。
【ア行】
・アクション…行動 機能
・アイデア…考え ひらめき 心に浮かんだ工夫
・アポイントメント…人に会う約束 時や場所を決める予約
・イメージ…心の中に映像を思い浮かべること 想像
・エントリー…ひとつひとつ選んだもの
【カ行】
・ゴール…目的 めざす目標
・コンセプト…全体を貫く統一的な考え
・コンセンサス…意見の一致 ある物事に関係ある人が納得
【サ行】
・再構築…無駄を省き,筋道を立てて考えを組み立てなおすこと
・スキル…慣れて上手になった技能
・セオリー…理論 思考の中で構築した知識
【タ行】
・データ…考え方や計算の基礎となる事実や数値
・テーマ…課題 表したいことの中心となる内容
【ハ行】
・ビジョン…将来へ描く構想 未来像 展望
・フィードバック…次へ活かす意図で,これまでやってきたことを俯瞰して見直すこと
・フェーズ…局面や段階 状態
・俯瞰…物事全体を大きくとらえること
・プラットフォーム…いろいろな仕事や働きの基盤となるもの
・プレゼンテーション…目的を果たすために特定の相手に考えや内容を伝える手段,それを提示すること
・プロセス…過程 物事の全体の流れ
・プロジェクト…ある目的を具現化する構想
・ポジティブ…前向き 物事を発展的に進めようとする気持ち
・ポートフォリオ…元々の意味は「紙ばさみ 書類かばん」情報を一元化したファイル
【マ行】
・ミッション…使命感 任務 自分がすべき仕事
・メディアリテラシー…情報を見極め,判断し活用する力 媒体(情報を伝える手段)への基本的な知識や技能
・モチベーション…やる気 刺激 動機
【ラ行】
・リサーチ…研究 調査
・ロジカル…物事を明確にして,筋道立てた考え方
これらの言葉は,ビジネス界ではよく使われる言葉です。これを機会に,使えるようにすることもよいかもしれません。
どのように職員にプロジェクト学習を広めたらよいか?
 岐阜市には「プロジェクト学習」を実践してみえる先生方が何人かみえます。たとえばその先生方から「実践例」を聞く研修会などを設けられ、プロジェクト学習の全体像、子どもたちの様子を把握されるとよいと思います。そうすると、プロジェクト学習を進めていく意義などもよく分かると思います。それを職員全員で共通理解されることが大切だと思います。全員が無理でしたら、学年の先生方だけでも共通理解されて進められるとよいのではないでしょうか。
どのようにプロジェクト学習を理解する?
論より証拠。実際にプロジェクト学習を体験してみることが一番です。ホームページやビデオ、書籍でも詳しく説明されていますが、テーマや提案の生み出し方、チームの作り方などを教師自身がやってみることが理解の近道です。近くで開催されるワークショップに参加してみたり、プロジェクト学習を実践されている先生に相談してみてはどうでしょう。子どもの立場で、何を考え何を学ぶのかというプロセスを知ることはとても効果的です。校内研修でワークショップを開いてみませんか。
実践した子どもの感想を教えてください。
・ 自分で考えて活動をすすめることができ、本当に楽しかった。
・ 自分たちが提案したことが町の人たちに役立つと思う。
・ 自分で考えたり、話したり、計画したり、選んだりする力がついた。
・ 仲間と一緒に活動できて楽しかった。
・自分で知りたいと思うことを調べて、世界のことを知ってもらえ、プレゼンをしたりガイドブックにして配ったりするのだからすごい手応えがある。最初の頃より成長したと思う。
・プロジェクト学習をしているうちに人前ではずかしがらずに大きな声を出せるようになった。
・今までは先生に言われたままに行動していたけれど、今回は一人思考があったり、プレゼンがあったり、自分の気持ちを伝えることが多くなったので成長した!と思いました。
・再構築のときに、一人でやるから、他の人にたよれないので、自分の力がよく分かった。完成してよかった。
・プロジェクト学習をしたおかげで、しっかりと自分の考えがもてるようになったし、意見も言えるようになった。つらいときもはげましあったりして、自分も仲間もとても成長したと思う。
・いままで何か人に任せてしまうことがあったけど、このプロジェクト学習を通して、みんなで協力して自分でまとめ上げることができた。
・自分が役に立たなくて、2年生のときには泣きました。でも3年生ではぜったい自分は役立つんだと思いました。これはプロジェクト学習のお陰だし、自分でも成長したなあと思いました。
・私はプレゼンテーションのとき、ここまで勉強してきてみんなにも「そうなんだー」とか「すごいねー」とか思ってもらえてよかった。
実践した子どもの変化は?
・児童が考えることの大切さを意識しました。
・学習する前よりも児童一人一人が情報(事実)にこだわるようになり、その事実が本当かどうか情報の出所を確かめたり、その情報が本当に自分たちの提案に必要なものかどうか取捨選択したりする力がつきました。
・他の学習活動では考えられない「ミッション」がプロジェクト学習にはありました。自分のしていることがたとえ小学生の自分でも役立つのだという思いを持って全活動に取り組めることはやりがいに他なりません。
・学習の場に広がりが出てくる。取り組む対象に広がりが出てくる。取り組みを進めて行くに従い主体性が出てくる。
・願い(夢)を実現するためにどのように取り組んだらよいかという学び方を学ぶことができたのではないかと思う。
・常に具体的なゴール(相手意識)を明らかにしておくことが活動意欲につながることを痛感。
・ 係活動のアンケート作りで「何のために」という視点をもって,趣旨を見失わない取り組みができるようになった。
・ 国語の要点まとめにおいて要領よく学習に取り組めるようになった。(考える力の成長)
・ 理科の実験において,確かな情報であるかどうかを話題にして互いにかかわり合うようになった。
・ 卒業までの長期にわたる見通しをイメージできるようになった。
・ 自分自身やグループのスケジュール管理ができるようになった。
・ 確かな証拠をもとに考えるようになり,噂や誹謗中傷にながされなくなった。
学習する前に準備するものは何か?(子ども)
 学習する前に準備するのは、ポートフォリオシート集とクリアファイルです。ポートフォリオシートは大変使いやすくできていますので、一人に一冊持たせるとよいです。クリアファイルは何でもよいのでしょうが、専用の物のように表紙が透けていると、常にテーマとゴールが見えてよいです。この二つをそろえるとかっこよくて、「さあ、はじめるぞ。」と子供たちが意欲満々になります。
学習する前に準備するものは何か?(教師)
 ポートフォリオシート集の解説書が必要です。初めての実践される先生方でも、これを読めば安心して進められます。プロジェクト学習を行うには、毎時間の準備が大変なので、せめて授業の4、5日前には読んで、必要なものを準備したり、授業の展開を考えたりしましょう。シート集・解説書は鈴木敏恵先生のホームページを参考にしてください。
学習する前に準備すること(子ども・教師ともに)
 題材についての理解を深めましょう。今、その題材がどうなっているのか、私とどんな距離にあるものなのか。とにかくその題材について考える時間を生み出しましょう。それが準備のフェーズ。プロジェクトの第一歩です。
必然性のあるテーマを生み出すポイントは何か?
 まず「題材」を決める視点が大切です。鈴木先生のHPに次のチェックポイントが載っています。
「題材」決定の8つのポイント
・ それは、子どもにとって「自分ごと」になり得るか。
・ それは、多面的、多角的に見ることができるものか。
・ それは、今の時代から見て“旬”か。その話題が「新聞」にも出ているか。
・ それは、子どもが聞いたり、話したり、見たり、手にしたり、経験したことがあるものか。
・ それについて「問題意識」や「もっとよくなったらいいな」という気持ちを多くの人がもっているか。
・ それについて大切と感じている人、怒っている人、活かしている人、困っている人、喜んでいる人がいるか。
・ それについて協力してくれるであろう「専門家」や「機関/施設」が思い浮かぶか。
・ それは、ほかの地域や国にとっても、やはり同様に大事であり関心や価値を感じるものか。
これをクリアーした「題材」を決定した後、「題材」について身近な人と話したり、基本的なことを自分で調べたり、詳しい人や専門家から現状を聞きます。ここは「準備」のフェーズで行いますが、大切なことはその「題材」を意識化させることです。ここのフェーズで「自分ごと」にしたり、いろいろな角度から良い点、問題点を明らかにしたりすることで、子どもたちに何とかしたいというミッションを抱かせることが成功のポイントになると思います。
ゴールはどのように設定したらよいか?
子どもが成長する『ゴール』の決め方                   
理論的思考力…プロジェクトの最後に「提案書」や「アイディア集」を作成しゴール(到達目標)とする。 全体を凝縮、再構築し、概念図や活字で提案を表現することで理論的に考える思考力が身につく。
表現メディア …子どもが考え出した「成果」は、HPや劇で表現するのでなく、「紙メディア」にする。紙は、知が自由自在に表現できるし21世紀に必要な「ビジュアルな論理性」「思考プロセス表現」「イメージによる概念図」「俯瞰性」などを可能とするからである。発露のしやすさ、試行錯誤、書き加え、思考の概念を表現するためには、紙に勝るメディアはない。「あらわしたものをよく見て、なんども見て、近くで見て離れて見て、伸びやかに考えを足したり、どんどん修正したり試行錯誤したり推敲する過程で、一番重要なことを見抜く視力、審美眼や思考力や思いきった知の取捨選択、イメージ力、自己評価力が身につきます。
達成感  …その「提案書」や「アイディア集」を見た人が「なるほど!」と意識や行動が変わる。価値ある成果/具体的提案とすることでリアクション/反響がある。子どもに達成感やさらなるやる気が湧く!
        プロジェクト学習成功の秘訣 >>>  学習のゴール = 社会のニーズ
どのように課題意識をもたせるのか?
 プロジェクト学習の重要なところは、子どもたちの「意志」ある学びです。プロジェクト学習は、調べ学習ではありません。「○○を調べましょう」から始めては、意欲が継続しません。「調べてみましょう」ではなく、最初にそれがどうあったらよいのか「ビジョン」を描くところから入るのです。「何年後にこうあったらいいな」と問いかけ、子どもたちが未来へ思いを馳せるようにするのです。つまり、調べたくなるような必然を生み出すのです。そのイメージする時間をたっぷりとって、「誰のために(何のために)そうしたいのか」とたずねると、自分の意志(ミッション)が明確になるはずです。そしてそのビジョンと、ミッションを叶えるために、「具体的に何をするのか」という「ゴール」を決めます。このゴールは「社会のニーズ」であることが大切です。こうすることによって、ただ単に「調べましょう」という学習とは違って、子どもたちが「ビジョン」と「ミッション」をしっかり持った学習ができるはずです。
課題意識を生み出すコツは何ですか?
題材を自分ごとにすること。自分事→私事。私にとって題材ってどうなのか、今の生活にとってその題材がどれだけ大切なことなのか、をどれだけ子どもたちが意識できるかです。いかに本気にさせるかは自分や自分の周り(の人たち)のことをどれだけ考えさせるかにかかっています。
アクションシート(毎時間使用するシート)の作成のポイントは何ですか?
 情報リサーチに行くとき、図書室やインターネットで調べるとき、インタビューするとき、どこかで何かの資料を見つけたとき、常にアクションシートに残していきます。そのためのシートは、あまり教師の意図性が強く表れない自由度の高いものがよいでしょう。
情報リサーチの方法や場所を教えてください。
 自分のテーマに向かって、情報を得ることが情報リサーチです。その方法や場所は多岐にわたります。
 方法:見学、インタビュー、アンケート、体験、書籍、インターネット、測定、調査、実験など
 場所:公園、商店、駅、図書館、様々な施設、川、山、道、など
 情報リサーチはそれぞれが自分に必要な場所に行くので、ばらばらになります。そのために、最悪の事態を想定した危機管理の学習や、情報リサーチの手段と特徴についての学習、また基本的なマナーなどの確認も必要です。子どもたちがお世話になる諸機関への依頼も大切です。これらの学習は、教師が与えるものではなく子ども達がイメージをして、シュミレーションするように仕組むことが大切です。
再構築の目的とやり方のポイントは何ですか?
 今までに自分が得たすべての情報をもとに、もう一度テーマとゴールを確認して、本当に必要なもの、自分の考え(提案)として大切なものを絞り込むのが再構築です。ここから成果物(ゴールの提案書など)の自分のページの記述が始まります。
 付箋を使って、ポートフォリオの中から本当に必要なものをぎゅっと絞り込みます。
 この一つ前のプレゼンテーションの段階で、それまでに取り組み、考え、得た自分の考えのよさと、まだ足りない部分を、仲間や地域の人たちに聞いてもらうことではっきりさせ、それを再構築に生かすことが大切だと思います。
[再構築] の条件
1「自分の考え・思い」が入っていること
2「根拠ある情報」で裏付けされていること
3「グラフ、写真、図」が活用されていること
4最後に結論として「具体的な提案」が示されていること
 
プロジェクト学習の評価方法(ポートフォリオ)について教えてください。
■新しい評価法…「ポートフォリオ」とは?
  新しい学習には、新しい評価が必要だ。総合学習のスタートに対し、英国や米国の 教育界で話題の「ポートフォリオ」が、日本でも広がる兆しをみせている。それはひとりの人間が、学びのプロセスで生み出す「学習成果」...文章・絵・作品・返却されたテスト用紙・調べ学習の情報メモや新聞の切り抜き・写真・ミィーティング録等 を一元的にファイルすることが基本となる(これを「元ポートフォリオ」と称す)。 ポートフォリオとは、モノであり、同時に考え方や、やり方でもある。
■「課題ファイル」をどう評価するか。
 ポートフォリオとは、例えば子ども達の学習成果(レポートや情報メモや作成物.. etc)をすべて一元化しファイル化したもの(もとポートフォリオ)、という説明に対し次のような質問が寄せられる。
 「子ども達が課題研究してファイルにしたものが”ポートフォリオ”だとすれば、 うちの学級では、ずっと前からやっていて、そのファイルは、学校の廊下の棚に、課題別にきちんと並べてあります。問題は、それをどう評価すればいいのか?が知りたいのです。」
  ★評価手段-1「対話」
     そのファイルを教師と生徒が共に見、1ページづつめくりながら、これを作成
    していくプロセスでどんな力を得たか?についてきちんと「対話する時間」を
    学習デザインのプロセスに加える。
  ★評価手段-2「文章化」--{主にスキルアップ確認&進化}
      ファイルをめくりながら、どう成長をしたか?何が出来るようになったか?
    どんなことが身についたか?などを生徒と教師が話しあい、確認しあい、その
    ひとつひとつを箇条書きにしていく。
     目に見えない成長を「言語化・文章化する」ことで確かに学習者が豊かな知的
    向上やスキルアップを遂げていることが、明らかになる。
  ★評価手段-3「再構築」--主に{重要要素発見&構成力}
      時系列でいろいろな学習成果が綴じてある、課題学習のファイルから、重要な
    要素や課題の進化に繋がる観点(意味の発見・関係・重要な意味・新事実・自分
    の視点・充分な展開力)だけピックアップし凝縮したり、シンプルに要点をまと
    めたりして再構成する。
  ★評価手段-4「プレゼンテーション」
     再構成した成果を「プレゼンテーション」。問題解決能力やコミュニケーショ
    ン力の評価に比べ「表現力/プレゼンテーション」は、テクニカルな要素が高く
    評価し易 い。評価は、自己評価や教師評価ばかりでなく、発表を聴いてくれ
    た参加者からもきちんとアンケートや意見を返してもらうことが、重要だ=外部
    評価・オープン評価。 さらにそれらを活かして上達を目指すといい。
  ★評価表現を生み出す時のキー
    --「序列意識を与えない」表現とする
    --「誇りを尊重」した表現とする
    --「モチベーションを高める」表現とする 
追加
 「何年後にどうなったらよいのか?」の前に、その題材の価値や必然性について考えること。その題材の今の状況を見つめて、よい点や問題点を考えることも入れたらいいと思います。